「自分の本を作ってみたい!」という夢を、資金面で後押ししてくれるのがクラウドファンディング(クラファン)です。しかし、その仕組みを正しく理解しなければ、成功はおろか、思わぬ落とし穴にはまってしまうことも。
この記事では、クラファンで本を出版するために知っておくべき「基本」「メリット」「デメリット」を分かりやすく解説します。
1.そもそも、クラウドファンディング(クラファン)とは?

クラファンとは、一言でいうと「インターネット上の資金集め」です。
自分の「こんな本を作りたい!」という夢や計画をインターネット上で発表し、それに「いいね!」「応援したい!」と共感してくれた人たちから、少しずつお金を集めることができる仕組みです。
知っておきたい2つの方式
クラファンには、主に2つの資金集めの方式があります。本の出版を目指すなら、必ず知っておきましょう。
- ① 目標達成型(All-or-Nothing)
設定した目標金額を達成した場合にのみ、資金を受け取れる方式です。もし1円でも目標に届かなければ、プロジェクトは不成立となり、支援者への請求も発生しません。そのため、もし失敗しても実行義務がないので、初心者でも安心です。 - ② 実行確約型(All-in)
目標金額に届かなくても、集まった分だけ資金を受け取れる方式です。その代わり、たとえ資金が足りなくても、自分で赤字を補ってでも本を完成させ、支援者に「お返し(返礼品)」を届ける義務があります。必ずプロジェクトを実行する覚悟が必要な上級者向けの方式です。
2.本作りでクラファンを活用する3つのメリット

クラファンには、個人の本作りを力強く後押ししてくれる大きな魅力があります。
- メリット①:出版費用が集まる!
デザイン費や印刷代など、個人では用意するのが難しい出版費用を、たくさんの人の応援によって集めることができます。あなたの夢に共感した人が、スポンサーになってくれるようなものです。 - メリット②:事前に需要がわかる!
「この本が出たら買います!」という予約販売のような形で、事前に購入希望者の数を知ることができます。これにより、何冊印刷すれば良いかの正確な見通しが立ち、過剰な在庫を抱えるリスクを減らせます。 - メリット③:金銭的なリスクなく挑戦できる!
前述の「目標達成型」を選べば、もし目標金額が集まらなかった場合、計画はすべて白紙に戻ります。あなたがお金を支払う必要は一切なく、支援者への返金対応なども不要です。金銭的なリスクを負わずに、夢への挑戦権を得られるのは最大のメリットです。
3.挑戦前に知っておきたい3つのデメリット(現実)

素晴らしい仕組みに見えるクラファンですが、挑戦する前に知っておくべき厳しい現実(デメリット)もあります。
- デメリット①:「知らない人」からお金は集まらない
これが最も重要な現実です。クラファンは、あなたのことを全く知らない人が偶然ページを見つけて支援してくれる場所ではありません。実態は、あなたのことを既に応援してくれている「ファン」が、ご祝儀のような形でお金を出してくれる場所に近いです。例えば、子供の時に通っていた動物園が新しい施設を作りたいとなれば応援したくなりますよね。そのように関係性のある人にお金が集まるのがクラファンなのです。 - デメリット②:手数料や返礼品のコストがかかる
クラファンは無料ではありません。目標金額を達成すると、集まった資金の中からサイト手数料(10〜20%程度)が引かれます。また、支援者への「お返し」として本やグッズを送るための制作費や送料も当然かかります。これらのコストを計算に入れずに目標金額を設定すると、「資金は集まったのに赤字になった…」という事態に陥ります。 - デメリット③:「ほったらかし」では絶対に成功しない
ページの公開後、待っているだけではお金は集まりません。成功は「準備」で9割決まると言われます。- 事前の告知:開始1ヶ月ほど前からSNS等で「本を作ります!」と宣言し、期待感を高める。
- 熱意ある文章:なぜ本を作りたいのか、想いを込めてページを作成する。
- 期間中の発信:クラファン期間中も、進捗状況などをこまめに発信し続ける努力が不可欠です。
まずはあなたの想いを発信し、たった一人のファンを見つけることから。そして、これらのメリット・デメリットをしっかり理解し、入念な準備をして挑戦すれば、あなたの本はきっと形になるはずです。